new!『あやかし薬膳カフェ「おおかみ」2』刊行

13万字長編小説「小樽あやかし香堂」の執筆工程、公開します。

当記事は以前公開していたnoteより移転した記事です。

こんにちは! 森原すみれ(@soshiteasa)です。

現在はシナリオライターをさせて頂く傍ら、小説も執筆しております!

最近書き下ろした新作がこちら。長編小説「小樽あやかし香堂」です。

以上のアマチュア執筆歴を持つ森原。
今回は満を持して、「13万字長編小説の執筆工程、公開します」ということでお届けしたいと思います!

同じ作家志望の方の何かの役に立てばと思い、手元の記録と記憶をフル動員しました…! どなたかのお役に立てることを願っております。

 

1: 新作の〆切を作ろう

 

今回完結させた、新作「小樽あやかし香堂」

こちらを執筆しようと思ったきっかけはズバリ、

森原

公募に提出する新作を作るため!です!

今回の公募の締め切りは9月末日。新作の構想に取りかかったのは7月中旬。

<構想→執筆→完成>まで所要時間は3ヶ月弱。

このように「〆切」を作るというのは一つの手だと思います。

「締切効果」という言葉もある通り、だらだら作業を当てなく続けるよりも作業に集中できますからね!笑

 

2:キーワードを見つけよう

 

森原は、「常に頭の中に書きたい物語がストックされている」 といった人間ではありません。
つまり、話を1から作らなければならないということ!

そんなとき最初に考えるのが、物語の要素を作る「キーワード」さがしです。

今回参加する公募ジャンルは、ずばり「ライト文芸」。
 キャラ文芸とすみ分けが難しいところではありますが、いくつか人気なジャンルがありますよね。

森原

あやかし、ご当地、グルメ、謎解き、中華…等々

気の赴くままに書籍を手に取り→エンタメ番組を視聴し→頭をこねくり回す日々。
結果、本作では次のキーワードを選びました!

●「あやかし」

⇒前作、前々作とともにあやかしものを書いていて、あやかし大好き人間になったから。

 

●「ご当地:小樽」

⇒北海道出身で小樽大好きな森原。コロナで観光客数が厳しい状況と推察される小樽をこの作品で応援したい!

 

●「お香」

⇒最初は「アロマ」で考え始めたが、和装男子を出したくなり和風に方向転換。お香の独特の雰囲気があやかしにもぴったりでは?

キーワードを選んだら、次の工程へ進みます!

森原

さてさて、どんなお話ができるかな?

3:資料を集めよう

 

キーワードが決まったら、それに基づいた資料集めを始めましょう。

本作のキーワードは、「あやかし」「小樽」「お香」。

資料集めの方法は、主にこの3つです。

  1. 図書館の書籍→必要なものを購入
  2. HP検索
  3. インスタグラム 

特に「(3)インスタグラム」では、「小樽の街のリアルな写真」を確認することができます。

具体的にはインスタグラムの検索機能で、調べたい場所名を検索。
すると最近その場所を訪れた人たちの風景写真やコメントを、ずらっと見ることができるのです!

今の現状では遠方に取材なんて気軽に行けませんが、やはり生の反応や声が気になるところ。

もちろん自分自身の五感で感じて得た取材には劣るでしょうが、是非参考になさってくださいね。

そして集めた資料からの知識は、 森原の場合1冊のノートにまとめて記載しておきます

森原はミドリカンパニーの「MDノート ライト〈A5〉方眼3冊組」を使用しました。

森原

ミドリカンパニー、大好きなんです♡

作品のあれこれのメモも、すべてここに書きつけておきます

 

4:妄想CM(あらすじ)を作ろう

 

「妄想CM」という言葉は、 森原が勝手に作った造語なので悪しからず(笑)

これはつまり、

…という妄想の産物です!(キリッ

CMって、 その作品のおいしい場面書きたい場面思わず惹きつけられる場面が凝縮されていますよね。

それを具体的に考えることで、物語のイメージがよりはっきりしてきます。

森原

いつかドラマ化か映画化された時に、こんなCMが本当に流れるといいなあ…

ちなみに、森原が考えた本作の「妄想CM」はこんな感じでした。

●和装男子が香炉をもって優雅に横切っていく姿(小樽運河)
●あやかし関連の問題に、笑顔で巻き込んでくる和装男子
●トラブルに巻き込まれつつ、素直で真っ直ぐな主人公が身を挺して解決していく
●和装男子に垣間見える、寂しい一面(背景は夜)
●和装男子を助けるために奮闘する主人公
●色鮮やかな行のお店で笑顔を浮かべる主人公と和装男子(あおり)
●タイトル

考えついたシーンは、とにかく書き留めていきます。

何ならテーマ曲を決めてもいいかもしれませんね。 雰囲気が出るBGMにより、イメージが一層膨らみます!

森原

どうやら今回の作品は、素直系主人公が和装男子とともにあやかしトラブルを解決するらしい…

ストーリーのイメージが、ほんのり見えてきましたね。

 

5:キャラクターを作ろう

 

ストーリーのイメージがつかめてきたところで、 ライト文芸・キャラ文芸の根幹、キャラクターを練っていきましょう!

  1. 今浮かんでいるキャラの性格・要素を書き出す。
  2. 背景にある理由(過去)を考える。
  3. さらに付け足したい性格・要素をひたすら書き出す。
  4. キャラ年表を作る。

大まかにこんな流れで作っています。

例えば、本作の主人公:千草野紬(ちぐさのつむぎ)。 26歳元OL。物語冒頭で無職になっています。

この主人公の最初に書き出した要素は、

●26歳、天涯孤独、派遣OL、優しい、天真爛漫
●小さいころから不幸体質。
●着物が似合う体格 etc.

そこから、 「親は?」 「どうして無職になった?」 「不幸体質って具体的にどんな?」と、 自問自答して深掘りしていきます。

次に、現在の状況に説得力を持たせるために、 「過去(幼少期)どんな暮らしをしてきたのか?」も考えます。

本編に出さない情報でも決めておくのがおすすめです。
そんな細かな設定が、些細な会話の反応などにより深みを出してくれますよね。

最後に、まとめの意味も兼ねて、「キャラ年表」も作ります

「過去に誰と誰が出逢っていた」などの設定を盛り込む場合は、 「何年前」「何歳の時」の計算間違いがあると面倒なので、特に必須の作業ですね。

森原

森原の場合、年表を作ってもなお計算ミスをすることもあります…(苦笑)

 

6:プロットを作ろう

 

物語に必要な材料がそろってきたところで、プロットづくりの開始です!

今のところ見えている物語の概要は、

●素直系主人公と和装男子(なかなか策士?)
●舞台は小樽。小樽の色々な観光地を巡りたい。
●あやかしトラブルのアレコレ。
●和装男子にも何か秘密があるらしいよ。

しかし、これだけではまだまだ物語として成り立ちません。

森原のプロット作りは、以下の工程を踏みました。

  1. 4話構成。
  2. 1話ごとにキーワードの要素を入れる。
  3. 物語全体の真ん中に「ミッドポイント」を入れる。
  4. 物語の内容で思いついたことをメモ。全体的な体裁を整える。

4話構成。

先ほどのノートに見開きに線を引き、4等分にします。 上に1から4までの数字を割り振ります。

 

1話ごとにキーワードの要素を入れる。

本作のキーワードは「あやかし」「小樽」「お香」。

そのエッセンスを、1話ごとにバランスよく入れ込んでいきます

「あやかし」だったら、「このあやかし、こんな活躍ができないかな?」 「小樽」だったら、「小樽のこの場所に、主人公たちを是非行かせたい!」 「お香」だったら、「お香のこの知識を、問題解決に使えそう!」

森原

…はい。めちゃくちゃ頭を使う作業です(笑)

ですが、これらが【1つのエピソード】として、 がっちりハマった瞬間の爽快感は格別!

キーワードが生かせるストーリーを、頭の中から絞り出していきます。

最初にキーワードの配分しておくことで、全体のバランスが取れますね。

 

物語全体の真ん中に「ミッドポイント」を入れる。

「ミッドポイント」とは、物語の転換となる出来事のことです。

さまざまな長編物語では、おおよそ「物語の中盤」でこのミッドポイントが置かれるそうですね。

森原

詳細を知りたい方はググってみてください~

今回の物語のミッドポイントは、4話構成中の2話のラストに置きました。 大体、物語の中間地点ですね。

このミッドポイントを入れることで、

「あれ? こういう物語かと思ってたけれど、どうやら話は単純じゃないみたい…?」 「いい人だと思ってたこのキャラクターって、本当に信用していいのかな…?」

など、読者が理解していた物語の姿に、一石を投じることができます。

森原

その一石が、読者の「気になる!」を刺激できれば、ミッドポイント成功ですね!

物語のメリハリをつけるためにも、このミッドポイントの設置はおすすめしますよ。

 

物語の内容で思いついたことをメモ。全体的な体裁を整える。

今までさまざまに書く殴ってきたメモを俯瞰し、 必要なエピソードをさらに書き込んでいきます。

そこで全体的な流れをまとめ、プロットとしての形を整えます。

さて。 ここまで、森原流プロットの作りかたを綴ってきました。

しかしながら、実は森原、 プロット通りストーリーが進むのはおよそ50%程度です(笑) 本稿では、知らない間に全く違う方向へ進んでしまうこともしばしば。

森原

ましてや、作者も解決方法のわからない問題が発生し、主人公と共にうんうん悩むこともあります(笑)

ですが、大きなアウトラインは変わらないので、 プロットは重要であることに変わりません。

ぜひ皆さんも、楽しんでプロットを作ってみてくださいね。

 

7:執筆を続けよう

 

プロットと資料を胸に抱き、ようやく本稿の執筆開始です。

本校執筆開始が8月3日。 公募〆切が9月末だから、1か月くらいで書き終えたい…!
そこで1日当たりの目標文字数を計算します。

本稿10万字÷4週間=2万5000文字

2万5000文字÷7日=3571文字/日

意外と余裕がありそうですが、プロットがあるからといって 本稿執筆がサクサクいくなら苦労はしない!(ババン!)

というわけで、森原流【執筆し続けるアイディア】を参考までにご紹介しますね。

 

執筆時間を確保する

現在、未就学児を家で育てている森原。

平日は基本母1人で子の面倒を見ています。 この間当然仕事はできません。

そんな森原が執筆時間として割り当てているのが、以下の時間です。

●早朝:6時起床→7時半(朝食準備)までの1時間半
●昼間:息子が昼寝した時間
●夜間:息子が就寝したあとの時間
●休日:旦那が息子氏を連れ出してくれる時間

数少ない執筆チャンス、みすみす逃すわけにはいかない!

「上記の時間は基本的に執筆に当てる!」 そう決めておくと、うっかりだらだら過ごしてしまうこともなくなりました。

 

机に向かう時間以外で、執筆の段取りをつけておく

時間ができた。執筆しよう。
そう思い意気揚々と机に座ったはいいものの、

「続きのエピソードが、思いつかないー!」 ↓ 「悩み続けただけで、結局全然進まなかった…」

…なんてこと、皆さんも経験があるのではないでしょうか?
森原もよくよくある出来事なのですが、これだと時間がもったいない!

そこで身につけた習慣が、 「机に向かう時間以外で、執筆の段取りをつけておく」こと。

つまり、皿洗いをしている時や、子どもと遊んでいる時、寝かしつけをしている時などに、 「次に書き出す具体的なエピソードの流れ」を考えておくのです。

森原

これは本当に有効な習慣!!

そうすることで、パソコンの前でうんうん悩む時間が減らせます。 せっかくパソコンと向き合える時間は、出来る限り執筆作業に専念したいですもんね。

思い浮かんだエピソードは、どこかにきちんとメモしておくこともお忘れなく!

 

pomeraDM200で執筆

上では便宜上「パソコン」と表記していましたが、実は森原、 本作の本稿は「ポメラ」という小型ワープロ(?)で執筆してきました。

「ポメラ」とはキングジムさんから発売されている商品で、 基本的にネットに繋がらない、執筆に集中できるツールとして根強いファンがいるアイテムです。

森原

そんな森原もポメラ台数3代目…。根強いファンの、末席くらいには入るのではないでしょうか!(笑)

現在使用中の「ポメラ(pomera)DM200」。 使用するメリットはいろいろありますが、1番のメリットは「起動が早い」

パソコンだとパスワードを打ち込んで→ちょっと待って→執筆用のソフトを開いて…とするだけでまあまあ時間がかかりますが、

ポメラだとパスワードを打ち込めば即・執筆開始! 素晴らしい!
この点ひとつでも十分執筆スピード促進に役立つのではないでしょうか。

これからも森原は、ポメラさんにお世話になる気満々です。

 

ポメラDM200紹介記事、書きました!
フリー6年目のシナリオライターが【ポメラDM200】を愛用するこれだけの理由

 

肩こり対策をする

デスクワーク中は特に、肩こりとの戦いになりますよね…!

万年肩こり&頭痛もちの森原。 あれこれ対策を練ってきたのですが、一番効いた対策アイテムが、高さや角度の調整が可能なパソコンスタンドです。

パソコン画面を疲れない高さに調節することで、 目の疲れも肩の凝りもだいぶ軽減されたと思います。

森原

もちろんゼロにはなりませんが、今の森原にはなくてはならない必須アイテムです!
デスクワークのかた必見!心身のリフレッシュにおすすめな書籍4冊。

 

テーマ曲を決める

前述しましたが、この作品を執筆するとき、森原は「自選テーマ曲」をよく決めています。

これを決めることで、頭が執筆モードになりやすいですし、物語の雰囲気に浸りやすいんですよね。

森原

ちなみに、本作のテーマ曲は藤田麻衣子さんの「泣いても 泣いても」でした。何があってもへこたれない主人公の心にぴったりだと思ったので。

…というわけで、森原流の執筆をつづけるアイディアをご紹介しました。

\                  /
 あとはもう、ひたすらに「書く」! 
/                  \

途中で「この話、本当に面白いのか?」と疑問に思っても、「書く」!
疲れてしまったら、休憩して、他の方の小説やドラマ、漫画などの創作物に触れて、また「書く」!

完成度は二の次でいいんです! 完成度50%でも10%でもいいんです!
そんなものは推敲作業でどうにでもなります!(笑)
そうすれば、いつの日かきっと、完結までこぎつけれます…!

結果として、森原は1か月強で本作第一稿を書き終えることができました

とはいえ、まだまだ物語のつじつまが変だったり書き出しが甘かったりと、 完ぺきとは程遠い状態です。
でも、それでもいいんです。
執筆が止まりそうになった時は 「推敲の時に書き直そう!」 という魔法の呪文で、ひたすらガシガシ原稿を進めていきましょうー!

※蛇足情報※

ここで裏話をこそっと。

前述のとおり、当初の予定は「4話構成」だったのですが、 執筆を進めるにつれ文字数が思いのほか膨らんでいった結果、 急遽「4話構成」から「3話構成」に変更した! という裏事情があったりします(ええー!)

もう少し、文字の想定をできるようになりたいものです…シクシク

 

8:推敲しよう

 

完結まで無事にこぎつけた皆さん、おめでとうございます!

ここまでとても大変でしたよね…! お気に入りの飲み物でも飲んで、ゆっくり休息をとってください。

森原

実はこの「休息をとる」というのも、重要なポイントなんです!

完結した直後は、ランナーズハイに似た高揚感に包まれてたりしませんか?
そんな中に「よし! それじゃあ推敲も始めちゃおう!」と思っても、 高揚感が邪魔をして客観的な見直しがしづらいことがあります。

余裕があれば、推敲前にすこし原稿から離れる期間を置きましょう。

森原

…とはいえ森原は、丸1日置いただけで推敲を開始しました(笑) 締切間近だったもので…!

そして始めた推敲作業。森原の推敲手順は以下の通りです。

  1. 書ききった時点で「ココの部分は直そう」と思っていた箇所を書き出しておく。
  2. (1)の箇所の修正をしつつ、最初から読み込んでいく。他の箇所も適宜修正。
  3. 再び最初から読み込んでいく。適宜修正。
  4. 再び最初から…(省略)

森原

要は最初から読み直して修正する。その繰り返しですね!

人によっては、「1回目の推敲は〇〇を修正する」「2回目の推敲は…」と決めて推敲される方もいらっしゃいますが、 森原は単純に「ここを直そう」と思った箇所をザカザカ直していきます。

ちなみに、本作で森原が修正した主な箇所は、

●各キャラの口調ブレの修正
●冒頭部分を書き直し
●お香の知識をもう少し加筆
●説明文のようになっている個所を読みやすく修正
●その他もろもろ

特に森原、キャラの口調ブレはあるあるでしたので、 ノートの裏に書き込んで逐一チェックしました。

合計4,5回ほどの推敲を経て、ようやく完成原稿ができあがりました。

 

9:ネットにアップしよう

 

さて、推敲も完了。

森原

つまりは原稿終了――!

とはいえ喜んでばかりもいられません。

今回参加予定の公募は「ネット投稿が必須」のものでしたので、 急いでネットにアップする作業が必要でした。

ネットにアップするにあたり、行った作業は以下の通りです。

  1. 作品画像の作成
  2. 作品の紹介文の作成
  3. 作品タグの選定
  4. 本文アップ作業

これでようやく、

\                 /
― ネットに作品アップ、完了ー!! ―
/                 \

森原

お疲れさまでした!!

 

さいごに

今回は、 「13万字長編小説の執筆工程、公開します」 ということでお届けしました。

この記事を読んでいただくことで「何だか私にも書けそう!」と思っていたければ嬉しいです。

とはいえ、本記事はあくまで森原流の執筆工程。
皆さんにぴったりな皆さんだけの執筆工程を、是非見つけてくださいね。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

森原すみれ

 

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