こんにちは。小説家の森原すみれです。
2025年10月24日に刊行されました、『お夜食処おやさいどき 癒やしと出逢いのロールキャベツ』(角川文庫)。
表紙イラストからもわかりますとおり、本作はロールキャベツが物語のひとつのカギになります。そしてこの物語を執筆するにあたり、初挑戦したことがありました。
それはずばり、キャベツを自分で育ててみること。

キャベツを実際に育ててみることで野菜のことをより深く理解し、野菜を日々届けてくださる生産者さまにも一層の想いを抱けると思ったのです。
というわけで、探してまいりましたキャベツの苗。種から育てるのはさすがに初心者には難しいと考え、苗から育てることにしました。
お店の園芸コーナーに足を運ぶと、ミニトマト、ピーマン、ナス、大葉、イチゴ、バジル、トウガラシ、キュウリなどなどたくさんの野菜の苗がずらり。しかしお目当てのキャベツの苗がなかなか見つからない。思えば今まで園芸コーナーで目にした記憶がないような……? それでも諦めずにいくつかのお店を巡り巡って、なんとかかんとか発見できました。
そうして森原は、意気揚々とキャベツの苗を植えました。土にはもともと肥料を入れていたので、あとは水と日光をたっぷり与えていれば美味しいキャベツに育つはず。そう思っていた時期が、森原にもありました。
さあ、ここで拙著『お夜食処おやさいどき』19ページ目の沙都の台詞を引用することにしましょう。
「野菜の苗も、土に埋めればすぐにその地に馴染むわけではないんです。苗を植えても、すべてがその地に根をおろし生長するとは限らない。…(以下略)…」
2025年の春。北海道は例年に比べてなかなか外気温が上がりきらずにいました。
我が家に植えられたキャベツの苗も例外ではなく、土に植え、水をあげて、愛情こめた視線を送り続けること数週間。一向に苗の形は変わりません。何なら少し……しおれてきた? ええええ……?
今になって考えるとあのころは気温が低すぎて、苗も生きるだけで精一杯だったのでしょうね。キャベツから言わせると、「ぐんぐん育てだって? こちとら自分の命を守り抜くんで精一杯だわ! ぺっ!」といったところでしょう。
それでも徐々に気温が上がってきた6月中旬から、少しずつ苗も葉を伸ばし、うっすらキャベツを思わせる形状を見せてきました。
育ててみてわかったこと。アブラナ科の植物はアオムシが付きやすいというのは、マジのマジでした。

虫がつかないようにと、苗を植えたときからネットで覆っていた我が家のキャベツ。なのにどこからやってきたのかアオムシめ。以前ならばモンシロチョウも「ひらひら可愛いなあ」なんて微笑ましく眺めていましたが、今となっては目の敵。ごめんねモンシロチョウ。でも許さん。
そんなこんなでなんとか成長曲線に乗りはじめた初キャベツ。熱い視線を送り続けた結果、キャベツは見事立派なまあるい形になってくれました。もう少し大きくなるかな? 収穫は来週にしようかな? というか、キャベツってどうやって獲るんだっけ?
そんなことを考えながら、ウキウキわくわくでキャベツを収穫した森原。今まで死角になっていたキャベツの表面に、何やらくしゃくしゃとした箇所を発見しました。おや。なかなか深いこの穴は。
ええええええ。喰われてるーーーーー!!??
せっかく立派にまん丸に育ったのに、最後の最後で虫喰いの被害。とってもショックでしたが、喰われたものはもうどうしようもありません。
グーグル先生にいろいろな質問を浴びせ、ひとまずキャベツはめちゃくちゃ洗って、虫本体が付いていないことを確認の上、完全自己責任で温キャベツにしていただきました。念入りにゴシゴシ洗ったから、もはやキャベツの風味も飛んでしまった……なんてことは考えない考えない。温キャベツは美味しかったです。
そして学んだこと。それは、野菜作りって本当に本当に大変だということです。
虫とか天気とか天気とか虫とか。およそ人間には対応できないことで、収穫直前だろうと容赦しないで、なんなら一瞬で、野菜はやられてしまう。そんな綱渡りのような仕事に、毎日休むことなく、熟練の技術と知識を持って向き合っていらっしゃるんだなあということ。すごいです。本当に、とてつもないです。
というわけで、全国の農家の皆さんへの感謝と敬意も存分に籠めに籠めたお野菜物語、『お夜食処おやさいどき』が完成いたしました。道民歴××年にもかかわらず今回はじめて知った道産野菜のあれやこれかもてんこ盛りの、ほかほか美味しい物語でございます。
ご覧いただくことで、いつも皆さんの食卓を彩るお野菜たちが、ほんの少し特別なお顔に見えるかもしれません。
ぜひたくさんの皆さんにお楽しみいただけますと幸いです。
森原すみれ
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